黒龍屋敷(ヘイロンやしき)…黒龍市の主が住まい、政務を行うところ。
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月亮(ユエリャン)
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先代『黒龍』の長子で、当代『黒龍』の兄。
人格、才覚共に優れ、将来を嘱望された『黒龍』の跡継ぎだったが、
当時『朱龍(チューロン)』であった玉蘭(ユイラン)との叶わぬ恋の果てに裏切られ、豹変。
それが切っ掛けで、廃嫡され死んだこととされるが、玉蘭と彼女を奪った大龍(ターロン)及び白龍市に復讐を誓い、
その為に東州茶房主人に身をやつし、玉蘭と大龍の子である飛を騙し育てていた。
しかし、飛が大龍の子ではなく、自分の子であることが明らかとなるが、
長く抱いてきた怨みによる心の歪みは、最早正しようもなく…(汗)
不治の病に冒された身体を抱え、長く仕えてきた蜂焔(フォンイェン)の裏切りと、
本土伍(ウー)家が島を狙っているのを承知の上で、白龍攻めを決行する。
それもまた、飛に阻まれ、炎の中、孤独に死のうとするが、怨みながらも愛し続けていた飛と玉蘭が追い掛けて来て、
大切な息子に見送られ、愛する人と共に穏やかな最期を迎える。
一見、穏やかで物静かな物腰の端正で品の良い顔立ちの男性だが、内に激しい情熱を持った人。
<初出>
2作目『龍は花を喰らう』
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冬眠(トンミェン)
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本名不明。←は、本人が周りに呼ぶことを乞うた渾名。
当代『黒龍』で、月亮の弟。飛にとっては父方の叔父となる。
幼い頃から身体が弱かったが、将来を嘱望された兄が廃嫡されたことにより、突如『龍』の位に就くことになる。
月亮の廃嫡の理由を察し、必ず戻ってくるという言葉に従い、腑抜けの『龍』を演じ続けていたが、実は聡明な青年。
しかし、わざと人をはぐらかしたり、相手の痛いところをさり気なく突いたりする意地悪なところもあるようだ(笑)。
月亮の帰還に伴い、『龍』の位を辞そうとするが、思わぬ蜂焔の裏切りと本土の介入の為に、
飛の決起に力を貸し、月亮と対立することに。
『龍』に返り咲いた後は、飛の努力の甲斐もあって、少しは真面目に街のことに取り組むようになった様子。
わざと長い髪で顔を隠すようにしていたが、知的で品良い顔立ちのなかなかの美青年である。
<初出>
14作目『龍は飛雨に惑う』
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草朗(ツァオラン)
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冬眠の侍者。細面の美しい青年。
黒龍の富農、毛(マオ)家の長子だが、冬眠を監視し、腑抜けにする為に、父蜂焔によって幼いうちに屋敷に送り込まれる。
冬眠の身の周りの世話から夜のお相手(苦笑)まで、最初は嫌々ながら務めていたが、
次第に冬眠に『龍』の資質を見出すようになった。
一度毛家に戻ったが、父の裏切りに、正面切って抗議した為に、酷い仕打ちを受ける。
飛に救われて、冬眠の元に戻って後は、決起勢に加わることに。
今も冬眠の側近く仕え、屋敷身内として積極的に活躍しているようだ。
<初出>
14作目『龍は飛雨に惑う』
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老銭(ラオチェン)
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黒龍屋敷古参の身内。冬眠の腑抜け振りに、時折頭を抱えながらも、誠実に仕えていた。
月亮が戻ってきた後も屋敷におり、月亮の危うさと共に街の危うさを感じていたが、病に冒された月亮の身も気遣っていた。
そして、決起勢に自ら降伏し、屋敷を明け渡す。今も、誠実に黒龍屋敷に仕え続ける。
<初出>
14作目『龍は飛雨に惑う』
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黒党羽(ヘイタンユイ)…『黒龍』の傍系から端を発する龍巣を拠点とした猛者集団。
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黒党羽老頭(ヘイタンユイラオトウ)
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名不明。黒党羽を束ねる頭。
髭面で大柄、豪放磊落な性格の壮年の男性。月亮に心酔し、彼の白龍への復讐に進んで手を貸す。
棒術に優れ、人の五感を自在に封じる黒針(ヘイシン)の使い手で、赤ん坊の飛を浚い、
彼を連れて逃げていた侍女の玲泉(リンチュアン)の目を封じた張本人。
決起勢が屋敷に乗り込んできた際、最後まで抵抗するが、捕らえられる。
現在は、屋敷の別荘に蟄居の身。月亮の後を追って自害しようとするが、飛の言葉に思い止まる。
<初出>
14作目『龍は飛雨に惑う』
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雷英(リーイン)
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黒党羽老頭の息子。母は、月亮、冬眠の姉なので、飛にとっては父方の従兄。
月亮が本土に茶房を開いていたときから彼に仕え、飛からは師兄として慕われていた。
茶房にいた折には、目が見えなくなったと偽った月亮の代わりに、飛に拳法の指南をしていた。彼もまた、棒術、黒針を操る。
月亮の復讐に長く手を貸していたが、飛が月亮の子であることを察してから彼らと別行動を取り始める。
飛の資質を見込んで、彼を『小黒龍』とするべく策を巡らし、一旦は成功するが、
飛を騙し続けたツケか、結局、振られてしまう(苦笑)。
父の跡を次いで、黒党羽の頭となったが、いずれ彼こそが『小黒龍』になるだろうと思われる。
朗らかで快活な雰囲気の美青年だが、中身はかなりクール?
クールであり過ぎたが故に、一番欲しい花(飛)を逃がしてしまった彼には、
今後もまだまだ頑張っていただきたいものだが…(笑)
<初出>
13作目『龍は飢える』(名前が初めて出たのは7作目)
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猫(マオ)
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黒党羽の若者。黒龍の富農、元(ユァン)家に世話になっている身でもある。
←は、赤ん坊の頃捨てられて、元家の先代当主に拾われた際、猫に舐められていたところから付いた名。
廟主(ミャオシュ)と呼ばれる党羽を纏める小グループのリーダーだったが、
街で下っ端が乱暴を働き、評判を落としていく黒党羽の現状を苦々しく思っていた。
黒党羽に捕らえられていた玲泉を助けて、共に白龍へ向かった折りに、
兄貴分の雷英と再会し、結果彼と共に飛に従って行動し、決起勢の一員として活躍する。
「坊ちゃん」(現当主、梨樹(リーシュ))の身を常に案じ、飛に惚れ込む梨樹にやきもきしたりも(笑)。
<初出>
14作目『龍は飛雨に惑う』
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元家(ユァンけ)…黒龍を代表する富農のひとつ。当代『黒龍』側で、決起の際も主要な勢力となる。
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梨樹(リーシュ)
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元家の現当主。一見幼くて頼りなく見えるが、実は芯のしっかりした少年。
常に元家のこと、引いては黒龍のことを思っていたが、己の力不足に悩んでもいた。
そんな時、ふいに背中を押す言葉をくれた飛に勇気付けられ、自ら積極的に動くようになる。
飛に心酔し、恋にも似た(笑)憧れを抱く。飛を中心とした決起の際にも、全面的に協力してくれる。
間違いなく、彼は「飛親衛隊黒龍支部長」(笑)。
が、深い思いやりも持ち、白龍へ還りたいと言う飛の気持ちを汲んで、飛の望みが叶えられるよう力を尽くしてくれた。
<初出>
14作目『龍は飛雨に惑う』
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毛家(マオけ)…黒龍を代表する富農のひとつ。月亮側。
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蜂焔(フォンイェン)
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「焔」は本当は難しいほうの字で(苦笑)。毛家当主。
黒党羽老頭と同様、月亮の昔馴染みで、彼に従い、その復讐に手を貸していた。
夜市(イエシ)で菜館(ツァイカン)を営む主人に身をやつして、長く白龍に身を潜め、
騒動の種を撒き散らした上で、白龍を混乱に陥れることに成功した策士。
一方で、四龍島の支配という野望を抱き、島から『龍』の血筋を除く為、
本土の伍(ウー)家と密かに手を結び、本土の船団を呼び込むが、失敗して捕らえられる。
飛の温情により、他に捕らえられた者殆どの罪は許されたが、
この蜂焔の罪ばかりは到底許されるものではなく(飛はそれでも異を唱えた)、斬罪となったようである(汗)。
自分の目的の為なら、肉親も切り捨てる冷酷な面を持つ。
<初出>
14作目『龍は飛雨に惑う』(それ以前からさり気なく月亮の話題に出てはいた)
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